学校薬剤師 学校保健安全法で大学以外の学校(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校)には学校薬剤師の設置が義務付けられています。また、認定こども園も同法が準用され、学校薬剤師を置かなければなりません。
学校薬剤師は学校で何をしているの? 学校薬剤師誕生の経緯から当初は学校薬事衛生(薬品類の使用・保管等)に関する職務に従事していましたが、1958(昭和33)年公布の学校保健法には学校薬剤師の職務として、学校環境衛生(換気、採光、照明など)の維持管理に関する指導・助言者としての職務が義務付けられました。 2009(平成21)年、学校保健安全法及び学校保健安全法施行規則が新たに施行され、学校薬剤師の職務は学校環境衛生に加えて、健康相談、保健指導にも従事するよう求められています。▶学校薬剤師活動(日本薬剤師会)
薬育活動 薬育とは薬を適正に利用する方法や、有効性・安全性や副作用などについての理解を深め、自分で判断できる力を身につけるための教育です。 薬育の必要性 小中学生向けの薬育授業はここ10年くらいで盛んになってきました。理由の一つは、危険ドラッグが出始めて、それまで犯罪から無縁であった人々が手を出し命を落とす、事故を起こして命を奪うなど危険が迫ってきたことにあります。しかし、これに対し、薬事法(薬機法:医薬品医療機器等法に改名)が改正され、税関体制が厳格化されたことにより、ほとんどが海外から輸入されていた危険ドラッグは水際でくい止めることができるようになり、蔓延はほぼ制圧されました。その一方で、市販の薬を過剰に摂取することで、精神的苦痛から逃れる「オーバードーズ」が、これまで非行歴のない若い女子中高生に多く見られるようになっています。 これは、単に、薬育の問題ではなく、家庭環境や学校教育のあり方など複雑な要因が絡まっています。 薬を適正に利用するための方法や理由、有効性・安全性や副作用などについての理解を深め、自分で判断できる力を身につけるための薬育を受けていない人々にとっては、大人であっても未知のことです。しかし、子供のころから薬育を受けていれば自ら考えて危険を避けることができる可能性は高まると思われます。 (下記、日本薬学会ホームページより抜粋:「薬育のできる人材育成をめざして」慶應義塾大学薬学部 名誉教授 福島紀子先生) 現在は、質・量ともにボーダレス社会の拡大により、ネットを利用して世界中から医薬品を手に入れることが可能となりました。薬を活用する垣根が下がることは悪いことばかりではありませんが、誤用や乱用を避けるためには、医薬品の正しい知識を子供たちが低学年から持っておくことが重要であり、自分で判断できる力を身につけておくことが大切です。2014年の薬機法改正では、「国民は、医薬品等を適正に使用するとともに、これらの有効性及び安全性に関する知識と理解を深めるように努めなければならない。」という国民の役割が明記されました。一方で薬の専門家である薬剤師は、医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者に対し、これらの適正な使用に関する事項に関する正確かつ適切な情報の提供に努めなければならない責務があります。つまり、薬を正しく使うための方法や、有効性・安全性や副作用などについての理解を深め、自分で判断できる力を身につけるための薬育がとても重要であることがわかります。薬剤師は薬育ができることが必須条件になると考えます。 こくやくの学校薬剤師は、ここ数年、全学校で薬育に携わることを目標にして活動してきました。昨年度はほぼ全校で薬育活動を行うことができました。今後は、すべての学校で同一レベルの薬育活動が提供できるように学校薬剤師のなかで、そして、学校薬剤師だけでなく、ふだん市民に接する国分寺市に勤務するすべての薬剤師に「薬育」を共有していきたいと思います。 ▶薬育活動の広報(多摩立川保健所)
どんな検査をしているの? 学校では学校保健安全法第5条の規定により、学校の学校環境衛生活動の1年間の計画「学校保健計画」を策定しなければなりません。学校薬剤師はその計画に基づき、同法第6条の学校環境衛生基準に基づいた学校保健安全法施行規則に従って学校環境衛生検査を実施しています。 なお、2019(平成30)年の学校環境衛生基準の見直しにより、教室等の温度などの改訂が行われ、同年4月1日より施行されています。 学校環境衛生基準 1.教室等の環境に係る学校環境衛生基準 換気及び保温等 採光及び照明 騒音 2.飲料水等の水質及び施設・設備に係る学校環境衛生基準 水質 施設・設備 3.学校の清潔、ネズミ、衛生害虫等及び教室等の備品の管理に係る学校環 境衛生基準 学校の清潔 ネズミ、衛生害虫等 教室等の備品の管理 4.水泳プールに係る学校環境衛生基準 水質 施設・設備の衛生状態 5.日常における環境衛生に係る学校環境衛生基準 教室等の環境 飲料水等の水質及び施設・設備 学校の清潔及びネズミ、衛生害虫等 水泳プールの管理 6.雑則(臨時検査) 以上の項目が規定されています。